この記事の内容
試される大地に1,000泊して感じた3つのこと
本記事は北海道に住んでいた頃を振り返る記事になります。長文です。
本ブログは旅行に関する記事が多いですが、本記事はいつもと少しタイプが異なる記事です。
本記事の内容は、先日の趣味発表会にて私が発表したものになります。趣味発表会とは、友人の間で不定期に開催している、各自の趣味や体験したことを話したい人が自由に発表する集まりです。
ちなみに友人と運営しているnoteにも(要約版ですが)同様の記事を投稿しています。
発表では、本州育ちの私が北海道に住んで感じたこと3つを紹介しました。以下本文です。
はじめに
本州の暖地出身の私ですが、3年(≒1,000泊)ほど北海道に住んでいた時期があります。住んでいたのは札幌から離れた小さな町で、地図的には北海道の真ん中あたりです。
皆さん、北海道といえばどんなイメージがあるでしょうか?
すぐに思い浮かぶのは、
・とにかく広い!
・食べ物が美味しい!!
・自然が豊か!!!
などでしょうか。
本記事では、これらの一般的な北海道のイメージについて解説しても面白味に欠けると思うので、1,000泊した私だからこそ語れる、北海道生活について紹介します。
↑よくある北海道のイメージ(飯テロし放題だぜ✌)
注意点たくさん!北海道ドライブ!!
1つ目は北海道の道路状況について。
まず前提として、北海道の札幌市以外に住むのであれば、自動車はほぼ必須になると思います。唯一、札幌市は地下街や地下鉄、路面電車があるため、自動車が無くても、不自由を感じることは少なそうです。しかしながら、これらが無くJRの本数も少ない地方都市では、どうしても自動車中心の生活になると思います。(私もそうでした。)
このことを踏まえた上で、道路事情について記します。移住前の私も含め一般的に、北海道の道路に対しては、次のようなイメージがあるかと思います。
道路は直線、信号が少ない、道幅が広い、歩行者が少ない…だから走りやすい!!
確かにこのイメージは概ね正しかったです。
ただし、注意すべき点も何点かありました。
そんな注意点のうち、北海道初心者の私の印象に残った点をいくつか紹介します。
野生動物の飛び出し
まずは私の車のドライブレコーダー映像をご覧ください。
運転していると突然!動物が飛び出してきます!!飛び出してくるのは多くの場合エゾシカですが、たまにキツネも飛び出してきます。一度だけ子熊が飛び出してきたこともありました。
対処法ですが、減速→停止→待機が基本だと思います。
ただし、シカは群れで移動しているケースもあるため、1頭目が通り過ぎた後も注意する必要があります。私は1頭目をやり過ごし、加速しようとしたら、続けて5頭くらい飛び出してきて驚いたことがあります。
ちなみに「夜はどうする?シカが飛び出してきても見えないのでは?」という疑問を持つ方がいるかもしれません。これはその通りで、ヘッドライトの照射範囲内までシカに接近しない限り、基本的に全身は見えません。(そして、そこまで接近すると回避が結構大変。)
ですが、シカに限らず野生動物は、遠くにいても目だけはヘッドライトの反射で光ります。このため暗闇に光る目を見つけたら減速して様子を見る、という対策を取っていました。慣れるまでは結構難しく、気付いたら超接近してしまっていた…なんて事もありました。
色々と書きましたが、一番有効な対策は、動物が飛び出しても減速/止まれるような速度で走ることだと思います。法定速度遵守はもちろん、飛び出しにも対応できるよう安全な速度で走ることが大事ですね。
開かずの窓と給油口
ある冬の日、私はいつものように燃料補給のためガソリンスタンドへ。
スタッフの人に「レギュラー満タンで!」と言おうとするも、
「ん?窓が開かないぞ…?」
仕方なくドアを開けスタッフに給油をお願いし、給油口を開けます。ところが「給油口を開けて下さい」とスタッフに言われてしまいます。
「???、開けたはずなのに…?」
と不思議に思い、車を降りて見てみると、
給油口がバキバキに凍り付いていました。
この日は特に冷え込みが厳しい日で、車の温度計は-15℃を示していました。結局、車内で給油口レバーを引きながら、スタッフに給油口を何度か叩いてもらうと氷を剥がれ開きました。
ちなみに窓も凍り付いたために開かなかったようです。車内が暖房で暖まると氷が融けたのか、開くようになりました。壊れた訳じゃなくて良かった…。
私が住んでいた地域は、積雪量よりも冷え込みが厳しかったですね。
ただ冷え込むといえども「寒すぎてドアが凍り付きました!開きません!!」という事態にはなりませんでした。助かったぜ…。
長く寒い冬
2つ目は、北海道の冬についてです。
ここでは本州の暖地でぬくぬく育った私からみた北海道の冬について感じたことを紹介します。
一言で記すと「長く寒い冬」
一年の半分が冬?
北海道に住んでみて一番強く印象に残ったこと…
!!!冬が長い!!!
以下は暖地温室育ちの私による、本州と北海道の冬の比較↓
北海道の冬は東京や大阪の冬と比べ、寒さ・長さが2倍でしたね。
(寒さ2倍という表現が科学的に適切かはさておき、それくらい寒かったです。)
暖地育ちの私にとって北海道の1月~4月、11月~12月は冬!!でした。本州の5月は、時々暑い日もある初夏という感じですが、北海道では「ようやく、冬が終わったか…、夏タイヤに交換するか…」という感じでした。
冬の寒さばかり強調していますが、北海道の夏は短く・乾燥しており、本州の夏と比べ非常に過ごしやすいことも申し添えておきます。(これだけで冬の厳しさを許せる人も多いと思います。)
冬に楽しむことと言えば…?
そんな寒い冬の北海道で楽しむ事と言えば、氷に穴を開けてする氷上ワカサギ釣りですね!
いやいや、北海道の冬はスノボでしょう!という人がいるのも十分理解しています。(私も飽きるほど行きました。)しかしながら、厳冬期の凍った湖で穴を開けて行うワカサギ釣りは、北海道生活における冬の厳しさ&ここでしか味わえない楽しさが凝縮したスポーツ(?)だと思います。
そんな氷上ワカサギ釣りですが、以下のような特徴があります。
どれも本州の暖かい地方での釣りでは想像できない内容です。
・早朝-20℃での釣行
一般的に釣りはマズメ(早朝・夕方)の時間帯に行うのが良いとされており、ワカサギ釣りでも早朝5時から釣りを開始します。ここで問題となるのが寒さです。一番寒い時期の一番冷え込む時間帯ですので、気温は-20℃近くまで下がります。そんな過酷な現場では以下のような現象が起きます。
・凍ったエサが崩れて粉に
私が驚いたのは、ワカサギ釣りの餌であるサシ(ハエの幼虫)を指先でつまむと崩れて粉になったことですね。今までの釣りで餌が凍って崩れるなんて、想像したことすらありませんでした。どうやって餌を付けるんだ…!?と初めは動揺しましたが、対策は意外と簡単で、指先で温めれば融けて、針に付けやすくなります。
・開けた穴が凍り始める
ドリルで開けた穴から糸を垂らしてワカサギ釣りを楽しんでいると、ある事実に気づきました。徐々に穴が凍り始めている‥!!
これは当然で、氷点下の中で釣りをしているため(そうでないと湖の氷が融けて我々釣り人は溺れてしまいます。)開けた穴は徐々に凍ってきます。
そんな時には適当な棒で成長し始めた氷を割りながら釣りを継続しました。
・ガスボンベが気化しない(ある意味、私達のミス)
厳冬期の早朝の釣行であるため私達は、寒さ対策としてガスボンベを持参し、暖を取る作戦に出ました。火があれば寒さに凍えなくて済むはず…!と完璧な作戦を考えた私達は、極寒の湖の上で意気揚々とカセットコンロの点火を試みます。
ところが、なかなか火が付きません。
……
…んー?
あれ…?
ガスボンベのガス気化してなくない?
と誰かが気付いた時、私達の完璧な作戦が失敗したことが明らかになりました。希望の火が消えることはあっても、まさか点火しないなんてことがあるんですね。
どうやら気温が低すぎてガスが気化しなかったため、火がつかなったようです。そんなん温室暖地暮らしの我々が気付く訳ないわ…。結局点火できたのは、太陽が昇り気温が-3℃くらいまで上昇し、ガスボンベ内のガスが気化してからでした。一番寒いときに使いたかった…。
ガスボンベは、カセットコンロ用ではなく雪山登山用など寒冷地に対応したものを準備する必要がありますね。(テント内でガスコンロを使うときは換気するよう気を付けて下さいね。)
・寒すぎて釣った魚を放置しても傷まない
氷上ワカサギ釣りでは、周囲の気温は氷点下で冷蔵庫よりも寒いため、釣った魚を放置しても傷むことが無かったです。通常、釣った魚は氷締めにすることが多いですが、私達はバケツに雪や氷を適当に敷き詰め、その中にワカサギを入れていました。地味に重い氷が容易に手に入るのはありがたいですね。
以上、色々紹介しましたが、どれも暖地でぬくぬく育った私には衝撃的な思いです。
氷上ワカサギ釣りをしてから、本州の暖地で海釣りをすると快適すぎて笑ってしまうんよ。
都市の規模感が…
3つ目は都市の規模についてです。本州と北海道では都市の規模感が違いました。
主要都市の人口
北海道内の都市を人口の多い順に並べると、こんな感じになります。
(総務省統計局「日本の統計2023」 都市別人口(令和3年)より)
都市 | 人口 |
札幌 | 約196万人 |
旭川 | 約33万人 |
函館 | 約25万人 |
苫小牧 | 約17万人 |
帯広 | 約16.5万人 |
札幌市は人口200万人に迫る大都市ですが、2位の旭川市は35万人と大きな差があります。私が北海道に暮らしていた時、札幌以外の都市は小さいと感じていましたが、統計からもよく分かります。
ちなみに本州で人口35万人規模の都市は、所沢市・川越市・奈良市・大津市などですね。
「旭川市も本州の県庁所在地にも負けない規模あるじゃん!」と思う方が居るかもしれません。
そこで、私が北海道の都市に感じたもう一つ特徴「都市間距離」について解説したいと思います。
都市間距離
以下の地図をご覧ください。
この地図が示すように、北海道内の都市は各地に点在しています。都市間移動では約2時間以上要することも…。また、移動したとしても地方都市の人口規模は約20万人で都会的コンテンツを期待するのは難しいです。映画館や大きな本屋、家電量販店が何件もあり、駅前にはカフェやレストランや居酒屋が並んでいる本州の大都市と比べると寂しい感じは否めません。
何時間も車を走らせ、辿り着いた街の規模も小さい…という点で、都市の小ささ&都会的コンテンツの少なさを感じることが多かったですね。(もっとも、都会の喧騒の中で暮らすのが嫌!!という人には天国だと思います。このあたりは、良い/悪いではなく個人の価値観ですね。)
こういう穏やかな風景は私も好きで、つい訪れてしまいます。
結論
実際に住んでみて感じた事と、私が感じた北海道生活を楽しむ条件を紹介し、結論としたいと思います。
住んでみて感じた事
私が北海道に1000泊して感じたことは以下の3つです。
・札幌以外の住民はマイカーに頼りがち、公共交通機関を使う人は少ない(動物飛び出し注意!!)
・冬は極寒…(ただし屋内は暖房が効いており快適)
・都市の小ささ、コンテンツ不足が苦痛(本屋・映画館・カフェなど)
上記3点を踏まえた上で、もう一度北海道に住むなら、
・札幌なら楽しめそう、地方都市に住むのは心の準備が必要かも
・数年であれは地方都市でも飽きずに楽しめそう
という感想を抱いています。
あくまで個人の感想です、都会の喧騒に嫌気がさした人には天国だと思います。
私が考える条件
北海道に1,000泊した私が感じた、北海道生活を楽しむ必要条件は下記の3つです。
・車を運転できる
・冬の寒さ&長さに耐えられる
・都会のコンテンツが少なくても耐えられる
1つ目と3つ目は、札幌に住む場合あまり気になりませんが、札幌以外の都市・町に住む場合には、ほぼ必須スキルだと感じました。本当に自然が大好きだったり、寒い冬でもウィンタースポーツを楽しむぜ!!という人に、北海道は天国ですね!
ちなみに私は1,2年目は超楽しんでいましたが、3年目になるとやや飽きていました(笑)
飽きない趣味を見つけられたら良かったのですが、私の趣味はドライブだったため、観光地もn周目にもなると食傷気味でした。この点については努力不足でしたね。
(´・ω・`)
どこに住むのかは個人の価値観によるところで、私がとやかく言えた立場ではないですが、私は北海道の地方都市に1,000泊する中で上記3つの条件が大切だなと感じました。参考になれば幸いです。
以上、北海道に1,000泊してみた感想でした!
田舎かつ寒いことが受け入れられれば天国のような場所でした!!
(ちなみに私には難しかった…)
以降は小ネタ集&発表時の質疑応答集です。興味ある方はどうぞ。
その他・小ネタ集
その他、本題とはズレるものの実際に住んでみて印象に残ったことを紹介します。
路肩に落ちた車
冬に車を運転していると、しばしば路肩に落ちている車を見かけます。他にも勢い余って路肩を転げ落ち畑に刺さった車、標識に激突した車、自動車同士で衝突した現場も見かけました。どれも凍結路面でスリップことが原因ですね。このような現場を見る度、より注意して運転しようと気を引き締めていました。
体重の増加
「北海道となんの関係があるねん!」とツッコミがありそうですが、北海道は海鮮はもちろん、道内産小麦を使ったパン、ジンギスカンをはじめとするお肉も美味しく、つい食べすぎてしまい、体重が増えました。
皆さんも気をつけて下さい😋
good-bye forever 花粉症!
私は花粉症気味なのですが、北海道に住み始めてから花粉症に苦しむことが無くなりました。どうやら北海道にはスギやヒノキが生えておらず、これらの花粉が飛んでいないそうです。これは嬉しいポイントです。北海道の人々は、花粉症と無縁の生活を送っているのか、羨ましい…と思っていましたが、実は北海道内に沢山生えているシラカバの花粉に悩む人が多いそうです。花粉症にも地域性があるとは。住んでみないと分からないものですね。
(ちなみに本州に戻ってから、花粉症は無事復活しました。つらい。)
質疑応答集
冒頭で記した通り、本記事の内容は、友人の間で不定期で開催しているの趣味発表会にて話した内容です。当然(?)質疑応答の時間も設けられており、いくつか質問を頂きました。ここでは受けた質問&回答を記します。
北海道の家にはクーラーが有りますか?
多くの建物にはクーラーが付いています。たまに古い旅館等で付いていない場合もありました。気候変動のためか、近年は北海道でも夏が暑くなってきており、新たにクーラーを購入する人も多いと聞きました。私が住んでいた地域では、8月中旬に最高気温が30℃を超える期間が約2週間ありましたが、それ以外は涼しく快適でした。また、本州のジメジメした夏と比較すると、北海道の夏は乾燥していて、過ごしやすいです。
地吹雪に遭遇したことはありますか?
1年に数回、天気が荒れて吹雪になることがありました。地元の方に「地吹雪の時に出かける際に気をつけることはありますか?」と尋ねたところ、「そんなものはない、出かけるのを止めましょう」と教えてくれました。本当にひどい地吹雪の時は、視界がすべて乳白色に染まり、方向感覚を失ってしまいますからね…、おうち時間を満喫していました。
(発表の中で、北海道内を巡ったとありましたが)印象に残っている道路はありますか?
北海道には真っ直ぐで走りやすい道路が多く、運転していて気持ちが良いものです。私が一番印象に残っているのは、稚内を訪れた際に通ったオロロンライン(国道232号線)ですね。快晴の中、利尻島を見ながら走るのが気持ちよかったです。
熊に出会ったことはある?
私が熊を見かけたのは運転中、道路横断する子熊を目撃した1回のみでした。ただしハイキングする際には複数人で話したり、熊鈴を持参することで音を出し、熊に出会わないよう心掛けていました。(どこまで効果があったのか分かりませんが…)ちなみに北海道に生息するヒグマは、本州のツキノワグマと比べ、かなり大きいです。郷土資料館ではヒグマの剥製がよく展示されていますが、圧倒的な存在感を放っています。
ネット通販は届く?
私が住んでいた地域にもネット通販で注文した商品は届きました。ただ本州の都市部と比べると、配達に時間を要し、基本的に即日配達には対応していませんでした。
多少時間はかかるものの、周囲にショッピングセンターが無いため、ネット通販には本当に助けられました。
住んでいた時に一番危ないと思った瞬間は?
最も大変だったのは、ワカサギ釣りの準備をしていた時です。
–20℃まで冷え込む冬の早朝に湖の上でドリルで氷に穴を開けていた時、暖を取るため持参したガスボンベは気化せず使い物にならず、かじかんだ手の感覚が徐々に失われていき、髪に凍った呼気が張り付き皆白髪となる等、想定外の事態が次々と起こりました。風除けのテントを張り終え、日が昇ると寒さが幾分和らいだお陰で助かりました。
(北海道の道路は走りやすいと聞くけど、)速度違反を取り締まられたことある?
安全運転を心がけていたので、取り締まられたことはありませんでした。
先に記した通り、北海道の道路には野生動物の飛び出し、冬季の路面凍結など、本州の都市部とは異なる危険が潜んでいました。
最後に北海道に住んでいた頃に撮影した写真を載せて本記事を締めたいと思います。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
動物達の写真でフォルダ埋まりがち…(-_-;)
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